はじめに
生体にとって無害な水を作るために汚れをできるだけ除去するという濾過槽の目的を達成するには、濾過槽の構造が重要です。
ただ、メンテナンスの頻度やその際の負荷が大きいと趣味を楽しむことが出来ません。
実は私がこの水槽を購入した際には、そこまで頭が回らずに考慮しきれなかったため、昔から定番の構造の濾過槽を発注してしまいました。
その後、新しく出てきているロールフィルターやリアクターを設置しましたが、それらの設置自由度が低く、メンテナンス性が悪化していました。
そのため、濾過槽の構造を新しく検討し、最新設備に対応した濾過槽設計を考えてみました。
何故濾過槽を新しい構造にするのか?
現在の濾過槽の課題
メンテナンス性の悪さ
ろ材やフィルター、リアクターを濾過槽に導入するわけですが、濾過槽の自由度が低く、メンテナンス性が悪化していました。各種フィルターやリアクターの設置自由度がなく、取り出しにくかったり作業がしにくい状態になっていました。
そのため、新しい濾過槽に替えることで、日々のメンテナンス性を向上する必要がありました。
突発・緊急時に魚が避難できない
濾過槽のメンテナンス性の悪さとも関連しますが、濾過槽自体の自由度が低く、緊急時に魚をろ過層に避難できるような構造になっていませんでした。そのため、水槽部分に追加の外付け型容器をつけたりして対応していますが、カクレクマノミのブリード等もしているので、場所がなくなってきました。そのため、濾過槽に魚を避難できるようにしたいと思っていました。
例えばカクレクマノミのブリードをしながら、新規導入魚に餌付けしたい時等は濾過槽にいったん魚を入れるような使い方をしたいと思っていましたが、現在の濾過槽ではそれが出来ませんでした。
現在の濾過槽
こちらは現在の濾過槽のイラストです。水の通りは以下の順番になっています。
- ロールフィルター
- ろ材
- プロテインスキマー
- 各種リアクター
新しい濾過槽
こちらは新しい濾過槽設計です。水の通りは以下の順番になります。
- ロールフィルター
- プロテインスキマー
- 各種リアクター
- ろ材
広く取った左側のスペースには、ロールフィルター、プロテインスキマー、各種リアクターが入ります。
ろ過を効果的に、楽に維持するための2つの変更点
変更点①ろ過順序の変更
ろ過順序を変更するためにろ材の位置を変えました。
海水でのろ過の順序はどうあるべきか?
これは物理ろ過、化学ろ過、生物ろ過の順番で行うべきと考えられます。
- 物理ろ過(粒子構造の水に溶けていない汚れを取り除く)
- 化学ろ過(GFO等の吸着効果等によって、主に水に溶けたイオン系の汚れを取り除く)
- 生物ろ過(アンモニア、亜硝酸、硝酸塩、リン酸塩を主に生物の酸化還元反応によって取り除く)
物理ろ過を最初に行うことが最も重要です。物理ろ過で取り除くような汚れは、化学ろ過や生物ろ過を行うろ材や吸着剤に付着します。そのため、ろ材の効果を薄めたり、メンテナンス期間を短くしてしまいます。これらを防ぐために最初に行うことが重要です。
2番目に行うべきは化学ろ過です。化学ろ過を2番目に行う理由は、主に水に溶けている成分を化学的な効果で吸着させているものであり、吸着効果が使っているうちに失われるため、定期的な交換が必ず行われるためです。物理ろ過で全ての汚れを完璧に取り除けることはないので、徐々に汚れが付着してしまうことは避けられません。そのため、必ず定期的な交換を行う化学ろ過を2番目に持ってくることで、生物ろ過への悪影響をできるだけ減らす狙いがあります。
最後に行うべきは生物ろ過です。これらは、主にバクテリアをろ材に繁殖させて行うろ過であり、ろ材を触る必要がありません。そのため、ろ過順序を最後にすることで出来る限りろ材を汚れにくくします。
変更点② 層構成と各層の寸法比率
層の構成を3層から2層に変更すると同時に、各層の寸法比率を変更しました。
3層から2層に変更した理由は、必要なくなったため
これは、最初の物理ろ過をウールマットからロールフィルター(ClariSea SK-5000)で行うようになったためです。ロールフィルターはそれ自体で完結しているろ過装置であり、水の入り口と出口がはっきりと決まっています。ウールマットの場合は重力により水を濾すという仕組み上、層を分ける必要がありましたが、その必要がなくなりました。そのため、自由度を増やすために2層へ減らし、各層の寸法を大きく取れるようにしました。
硝化サイクルを担うろ材は最終段にセットします。この部分の水位は水の蒸発により変動する可能性がありますが、上から必ず水が降ってくる構造になっているのと、APEXによる水位管理があるため問題になる可能性は低いと考えています。
各層の寸法比率を変更した理由は面積効率をよくするため
これは巨大なプロテインスキマーに代表される各種ろ過装置を入れるためです。今は3層になっていることから各種ろ過装置の置ける向き等が制限されてしまい、面積利用効率が悪くなっています。一部屋を非常に大きく取り、各種ろ過装置の自由度を広くするためです。
物理ろ過を担うロールフィルター、プロテインスキマー(一部化学ろ過もスキマーは行う)、化学ろ過を担うGFOリアクター、生物ろ過を担うバイオペレットリアクターの全てを最初の広い層にセットします。これらの装置を効率よく配置するために各層の寸法比率を変更しました。
まとめ
濾過槽の役割は以下の4つがあります。
- ろ過し、汚れを取り除くろ材や設備を収納する。
- 見た目をスマートにするために見えない部分に温度管理等の設備を収納する。
- 主に緊急時に魚を避難させる。
- リフジウムを設置し、生物層を豊かにする
これらの基本的な役割を満たしながらもメンテナンス性を向上するために新しい濾過槽に変更する予定です。
その際のポイントは、
- 各種フィルター・リアクター類の設置自由度を高くすること
- ろ過順序を考慮すること
の2点と考え、これらを改善した設計としたつもりです。新濾過槽の設計が満足いくものかは運用してみないと分からないため、今後また報告したいと思います。
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