実態紹介シリーズ:ローランドダムセルフィッシュ
今回は我が家の水槽内にいる2匹のスズメダイの内の1匹、ローランドダムセルフィッシュについてご紹介していきます!
このシリーズは、図鑑では知ることのできないお魚たちの実際の生活状況をご紹介する内容となっています。
美しい体色がとても魅力的なローランドダムセルですが、実際に飼育したからこそわかるその生活実態もユニークな面があり、見た目だけじゃない魅力をたくさん持ったお魚です。また、スズメダイの縄張りの感覚は他の魚と違う部分もあり、とても勉強になりました。もちろん、魚には個体差もありますので全てのお魚が我が家と同じ状態になるとは限りませんが、「綺麗な色の魚を探してた」「スズメダイの飼育にチャレンジしてみたい」という方には参考にして頂きたい内容となっています。
ローランドならではの面白い行動や、スズメダイ特有の縄張り感覚についても記載していますので、ぜひお楽しみください!
ショップで一目惚れしたスズメダイ
現在の150cm水槽を立ち上げた際に、最初に入れる魚を夫と共に見に行ったのですが、その際にサンゴ水槽の中に泳いでいる姿を見て一目惚れしてしまい、夫に「この子も欲しい!」とせがんでお迎えしてもらったお魚です。
何と言っても綺麗なのがその体色!白い体に黒のグラデーションと頭部分の黄色のアクセントカラーがとっても可愛い…。実はノーマルタイプのローランドダムセルはもう少し黒っぽく、黄色が少ないそうなのですが、バヌアツ産のローランドは我が家の子と同じ色なんだそうです。レアタイプだったのね、知らなかったよ。(おいっ!!)
我が家のローランドダムセルについて
- 日本名:ローランドダムセルフィッシュ
- 英名:Rolland’s demoiselle
- 学名:Chrysiptera rollandi
- 我が家での愛称:妻お気に入りのスズメダイ(雑すぎる)
- 我が家にやってきた日:2018年2月2日
- 購入時の体長:2cm(現在は約3cm)
ローランドダムセルは元々そんなに大きくはならない種類なので比較的小柄ですが、食に貪欲で餌をよく食べます。餌付けで困った記憶はありません。そのためか、現在体長はそこまで大きくないものの、体の厚みがしっかりしていて、小さいながらに存在感を感じる体になっています。
基本的にスズメダイは総じてそうですが、気は強めです。ただ、体が小さいので、大きな魚に攻撃することは滅多にありません。気が強い分、体格の大きい魚にビビることもないので、ヤッコやハギなど大きな魚と混泳するのは問題ないかなと思います。
テリトリーの広さが特徴的
名前からわかる通り、ローランドダムセルはスズメダイです。スズメダイとして分類されているお魚は、基本的に気が強く自分たちのテリトリーをしっかりと確保する傾向にあります。
普通テリトリーと聞くと「この辺り」くらいの小さな範囲を思い浮かべると思います。ましてやローランドは体長3cmの小さな魚。私たちもそこまで大きくないでしょと侮っていました。
ただ、我が家のローランドダムセルは想像をはるかに超えるテリトリーの持ち方をしました。まぁ、その範囲の広いこと広いこと。ちっさいくせに大きすぎるやろ!とつっこみたくなるくらいの大きさでした。日に日にテリトリーの範囲も変わっていっているのですが、初めは水槽の左側全て、その次は水槽の下半分全て、そして現在は水槽右側下半分全てが彼のテリトリーとなっています。
150cm水槽ですよ。いやぁ、広い。なんて贅沢な奴や…。
謎の穴掘り術
これはローランドダムセルに限ってのことなのかもしれませんが、水槽の下側に穴のようなくぼみを見つけて、そこをお気に入りの場所にする傾向があります。
元々あるくぼみや空間をお気に入りにすることもあり、現在は水槽下側に入れている小さな塩ビ管の中を気に入っているようですが、以前は気に入った場所が見当たらなかったのか、自分で穴を掘って(?)満足げにそこに居座っていました。
その穴というか、くぼみの作り方が独特で、イエローヘッドジョーなどのように口を使って穴を掘ることはできないので、代わりに体を使うのがローランド流。
尾っぽをバタバタバタッと底砂に向かって動かし、水圧で砂を押しのけてくぼみを作ってました。
いや、砂の中の汚れ巻き上げんといてくれー!!と何度も泣きそうになったのを覚えています。本人はとっても満足そうにそこに入ってくつろいでましたが…笑。それにしても面白い性質ですよね。まさかスズメダイが穴を掘るとは思ってもみませんでした。
スズメダイの混泳について
ローランドダムセルは縄張り意識をしっかり持っている魚だと前述しました。
同じように縄張り意識が強い魚としてヤッコが挙げられますが、ヤッコの場合、眠る場所以外はあまり決まっておらず、昼間には水槽中を泳ぎ回っているような様子が見られます。
スズメダイの場合は、眠る場所+昼間の活動範囲までしっかりとテリトリーを確保する傾向にあり、昼間であっても決まった場所以外をうろうろすることは、あまりありません。デバスズメのような群泳する種類であれば別かもしれませんが、それ以外のスズメダイは自分の活動範囲がしっかりと決まっている為、他の魚、特に他のスズメダイと一緒に泳ぐという姿は見たことがありません。
スズメダイを複数入れたい場合は
スズメダイは小さくてとっても可愛い魚なので、たくさん入れたいと思う方も多いかもしれませんが、その際には注意が必要です。我が家の水槽における過去の経験から、スズメダイ混泳時に気を付けたいポイントをご紹介させて頂きます。
1種類につき1匹が基本
デバスズメのように群泳する種類であれば、同じ種類のスズメダイを複数匹一緒に入れても問題ないかと思いますが、基本的には1種類につき1匹を目安に飼育することをお勧めします。スズメダイは気が強く、テリトリーを犯されると喧嘩をしますが、意外にも他種同士の場合はそこまで大きな喧嘩に発展はしません。
ただ、これが同種となると話は別。それこそ殺し合いに近い喧嘩をします。最後の一匹が勝ち残るまで争いをやめないので、同種同士の喧嘩をし始めるとヤッコよりもずっとずっと厄介です。たくさん入れたくなる気持ちをぐっと抑え、1匹1匹を大切に飼育してあげることをお勧めします。
テリトリーの観察は常にしておくこと
これは既にいずれかの種類のスズメダイを飼育しており、さらにスズメダイを追加したい場合に気を付けたい事項です。スズメダイはその種類によってテリトリーの持ち方が大きく異なります。ある岩の一角だけをテリトリーとする子もいれば、水槽下半分すべてをテリトリーとする子もいたりと、範囲にかなりの違いがあります。時間が経つとテリトリーの場所が変わることも、よくあることです。
前述したようにスズメダイは寝床の場所だけでなく、昼間の活動範囲もテリトリーに含まれます。そのため、塩ビ管などで場所を増やすことはあまり意味がなく、昼間に「どこを泳いでいるのか」を見ておくことが重要です。
現存のスズメダイ達の活動範囲全てを重ねたときに、その範囲が水槽内全てを覆っている場合は新しいスズメダイを入れることは難しくなります。スズメダイは喧嘩をし始めるとヤッコよりも激しいので、注意しておきたいところです。
カクレクマノミにも要注意
カクレクマノミは初心者さんにも飼育がしやすく、見た目も可愛いのでとても人気があるお魚ですが、分類でいうと実はスズメダイの仲間に属するお魚です。
その為、同種同士(特にオス同士、メス同士)はかなり激しく喧嘩をします。また、他のスズメダイがクマノミのテリトリーに入った場合も、結構な勢いで追い返そうとして攻撃します。スズメダイのテリトリーを観察する際は、クマノミのテリトリーにも気を配っておくと、混泳がスムーズになるかなと思います。
今日もきれいでしょ?
相変わらず体に見合わない大きな範囲をテリトリーにして、今日も満足げなローランドダムセルフィッシュ。
なかなかに気も強く、活動範囲に関してはしっかりと気を配る必要がありますが、不必要に他の魚を攻撃したり、喧嘩を仕掛けることもないので、比較的飼育のしやすいお魚だと思います。また、大きな魚にビビりあがることもないので、小さな魚だからと大型魚との飼育をためらう必要もありません。
お魚らしい体の形とレモンイエローのような差し色とってもきれいなお魚なので、美しいサンゴたちと一緒に泳がせてみるのはいかがでしょうか?特におしりフリフリ穴掘りは必見です!笑
可愛いスズメダイと一緒にマリンアクアリウムを楽しみましょう!
最近のコメント