リキッドフォスフェイトリムーバーの使い方とリン酸塩を除去できる理由

はじめに

リン酸はミドリイシ飼育では、成長を阻害するため、リン酸を低く保つ必要がありますがリン酸を低く保つことは非常に難しいです。

非常に効果的なリン酸除去剤であるリキッドフォスフェイトリムーバーの成分は公開されていません。そのためどういう理由で除去できるのかが分からず、リキッドフォスフェイトリムーバーの使い方がはっきりしないところがありました。

そのため、成分から分かる影響と注意点についてまとめました。

 

成分と、そこから分かる影響と注意点

リキッドフォスフェイトリムーバーの内容成分

ウルトラライフ社のリキッドフォスフェイトリムーバーの成分は塩化ランタンです。塩化ランタンの化学式はLaCl3でランタンの周りに塩素が3つついた分子です。

LaCl3 ⇔ La3+ + 3Cl
La3+ + PO43- ⇔ LaPO4

水の中では上記のような反応をすることでリン酸と結合し、難溶性の物質となることで沈殿し、水中からリン酸が除去されるという仕組みのようです。

 

利用する際に必要な物

上記のように沈殿を引き起こし、リン酸を除去するというメカニズムのため、沈殿したものを取り除く必要があります。

そのため、10~20umメッシュの細かいフィルターをできれば用意すべきのようです。または強力なプロテインスキマーでも除去が出来る可能性があります。ただし、どの程度プロテインスキマーで取り除けるのかを定量的に測定した結果は見当たりませんでしたので、不明です。

我が家では、20umメッシュのClariseaのロールフィルターとRLSS R12-iという大型プロテインスキマーという環境で何度も添加していますが、問題なくリン酸を除去することが出来ています。

 

リキッドフォスフェイトリムーバーでのリン酸塩の限界

リキッドフォスフェイトリムーバーはリン酸を非常に素早く除去してくれますが、0ppmまで下げることはできません。何度か実験しているのですが、少し多めに添加していっても、下げられるリン酸塩濃度は0.1ppm前後が限界のようです。

何故0.1ppm以下にリン酸濃度を下げられないかは、はっきりと理由が分かっていません。あくまで推測ですが、平衡状態に達したことで、私の海水水槽の環境条件では、これ以上の反応が進行しないためではないかと考えています。

 

過剰添加した場合の影響

  1. KHが下がる
    ランタンは炭酸塩とも結合する性質があるため、リン酸を除去しても余るほどの添加をしてしまった場合、炭酸塩と結合してしまいます。そのため、KHが下がってしまいます。
  2. 魚の呼吸に影響がある
    海外で過剰に添加してしまって、魚が死んだや呼吸が早くなったという報告がありました。私の水槽では、そのようなことは起きていないのですが、念のために注意した方がよさそうです。

 

添加する場所

白濁を引き起こすことと、KHが下がること、生体への影響が0ではない可能性を考えると、局所的に濃度が高くなることは良い結果を引き起こさないと予想されます。

そのため、オーバーフロー管やサンプなどよく混ざってから水槽に入っていく部分に投入した方が無難と思われます。添加場所を注意することは、負荷がかかることではないので、私はいつもサンプに添加するようにしています。

まとめ

ウルトラライフ社のリキッドフォスフェイトリムーバーは塩化ランタンで出来ており、リン酸塩と結合することでリン酸塩を除去します。そのため、結合した分子をフィルターによる除去、またはプロテインスキマーにより除去する必要があります。

また、過剰添加はKHが下がる、魚への影響がある可能性があるため避ける必要があります。

注意点はありますが、非常に素早くリン酸を除去することが出来、有用であることは間違いありません。水族館などでも使用されているようです。使用方法を守って利用することで、確実に効率的にリン酸を除去することが出来ると思います。