【飼育記録】カクレクマノミの繁殖まとめ【アクアリストの妻目線】

はじめに

今回は我が家で現在もなお進行中の、カクレクマノミブリードについてのまとめをお伝えしていこうと思います。

我が家では「ブリードをして販売する」という程の大掛かりな事はしていませんが、「せっかく産み付けられた卵を何とかしてあげたい」との思いから、いろいろと試行錯誤を重ねてブリードに取り組んできました。

「カクレクマノミが卵を産んだみたい」「どうしたらいいの!?」という方はこちらの記事を参考にして頂けたらと思います。

水槽環境

ではまず、我が家のクマノミブリードにおける水槽環境について記載します。

水槽環境
  • 水槽:稚魚用の隔離水槽(本水槽内にキスゴムで取り付けています)
  • フィルター:なし
  • エアレーション:あり

 

水槽について

水槽は稚魚用に別の水槽を立ち上げる場所や時間が無かった為、隔離ケースを用意し、本水槽内にキスゴムで取り付けて隔離ケースとして運用しています。良かった点は、本水槽内の水を循環させることができるので、フィルターを取り付ける必要がないこと、温度が一定に保たれることがあげられます。

注意点としては、稚魚が通り抜けてしまわないよう、必ず稚魚用に作られた隔離ケースを用意することが必要です。

 

フィルター

フィルターは前述した通り、本水槽内の水が循環するため取り付けていません。水の循環効率を上げるため、エアストーンを用いたオリジナルの水替えシステムを取り付けています。

隔離ケースに小さな穴が開いているため、水を抜くと自然に水が入り隔離ケースと水槽の水位は同じになるような隔離ケースです。

 

 

 

エアレーション

隔離ケース内はほとんど流れが無い為、エアレーションを取り付けて酸素供給をしています。

生まれたばかりの稚魚は遊泳能力が低く、エアレーションが強すぎるとおぼれてしまいます。稚魚の成長に合わせ、エアレーションの強さは調整が必要です。

 

ご覧の通り、特別な設備などは取り付けていません。大掛かりな事は何もしていませんが、毎回約30~50匹ほどの稚魚が無事に成長してくれています。

 

稚魚育成のために取り組んだことと、その効果

次に、稚魚育成のために取り組んだ内容を時系列も含めて表にしてみました。

稚魚の生存率としては7回目以降が最も高くなっています。これから稚魚の育成を計画されている方は、7回目以降の作業内容を参考にして頂けたらと思います。

餌の回数 エアー調節 水槽内の掃除 夜間の点灯 水温 振動物の除去 生存数
1回目
~3回目
冷凍ワムシのみ 2回/1日 × × × 25℃ 5匹
4回目 冷凍ワムシ 2回/1日 × × × 25℃ 0匹
アンブローズ100 4回/1日
5回目 ブラインシュリンプ 1回/1日 × × 25℃ × 0匹
6回目 冷凍ワムシ 2回/1日
(側面から)
25℃ × 10匹
アンブローズ100
ブラインシュリンプ 1回/1日
7回目 冷凍ワムシ 2回/1日
(真上から)
26℃ 50匹
アンブローズ100
ブラインシュリンプ 1回/1日

 

 

餌について

餌は、冷凍ワムシ・アンブローズ100(乾燥餌)・ブラインシュリンプ(生餌)の3種類を主に与えています。生まれたばかりの頃は体が小さく、ブラインシュリンプを食べられない可能性があるため、ブラインシュリンプの量は少なめで、冷凍ワムシとアンブローズを中心に与えるようにしています。餌は必ずスポイトなどを使い、水槽全体に広げるようにすると良いと思います。

 

エアーの調節

「エアーの調節」はエアレーションの強さの調節の事です。初めの頃はとにかく流れがあったほうが良いと勘違いをしていたため、エアレーションの強さに流されて溺れてしまう稚魚も多くいました。稚魚は思っているよりも泳ぐのが下手っぴなので、かなり弱めに設定してあげることをお勧めします。

使用しているエアレーション器具は、「水作 水心 SSPP-3S」で、設定は最弱です。さらに、コックを使ってエアーをかなり弱くしています。エアー量は目分量ですが、稚魚が水流で流されない程度にしており、水流としてはかなり弱くなっています。

 

水槽内の掃除

隔離ケース内の掃除は主に底面を中心に行っています。冷凍餌や乾燥餌を使う場合は、食べきれなかった餌が下に落ちて蓄積されてしまうため、一日一回必ず掃除をしています。掃除の際も大きく水を動かすと稚魚に影響が出てしまうので、優しく丁寧に行うことを心がけています。

 

夜間の点灯

稚魚が大量に☆になってしまうのが夜間に多いことから、夜の間も稚魚が活動できるよう、隔離ケース内を照らすようになりました。

初めはテーブルライトなどを使って水槽の側面から照らしていましたが、隔離ケース内全体がうまく照らせていなかったので、現在はシールタイプのLEDライトを使い、隔離ケースの真上から水槽内全体を照らすようにしています。光量は極弱めで問題ないと思います。

 

水温

元々24.5℃~25℃で水槽内を設定していたのですが、本水槽内の環境の影響でこれを約1℃上げたところ、稚魚の生存率が飛躍的に上昇しました。これは本水槽との兼ね合いもあるので難しいところかと思いますが、個別に調整できるのであれば26℃~26.5℃程度の少し暖かめな水温にしてあげると良いと思います。

水温を上げた際には、成長速度が明らかに早くなりました。また稚魚の動きが活発になりました。これらからかなり効果があったのではないかと予想しています。

 

振動物の除去

「振動物」とはブラインシュリンプを沸かすための沸かし器の事です。元々、稚魚の隔離ケース内に沸かし器をセットして稼働していましたが、沸かし器の裏側で☆になる稚魚が多くいました。

そのため、7回目以降は稚魚の隔離ケースからブラインシュリンプ沸かし器を取り出して、サンプ内で沸かすようになりました。この効果であるかどうかはわかりませんが、沸かし器の裏側でまとまって☆になってしまうといった状況は無くなりました。

ただ、こちらについては死んでから沸かし器の裏に入ってしまったのか、沸かし器の裏に入ってしまったから死んでしまったのかの因果関係が定かではありません。

 

まとめ

上記のように、大掛かりな設備を用意したり、付きっ切りでのお世話などはしていませんが、ほんの少しの工夫と毎日の手入れの積み重ねだけで、可愛いクマノミベビーたちを育てることができます。

限られた条件の中で、最も効果があったのは水温だと考えています。水温を1.5℃程度上げた際に、明らかに稚魚の成長速度が上がり、また生存率が大幅に上昇しました。実際の海水温は25℃より高い時期がずっと多いので、稚魚にとっては低すぎる可能性があるかもしれません。

我が家も最初の内はノウハウが無かったので、毎回☆になっていく稚魚たちを見ながら何とかできないかと何度も試行錯誤をしてきました。その分、無事に育ってくれた稚魚たちへの思い入れは深く、とても大切な存在です。

この記事が、これからカクレクマノミの稚魚に挑戦する方の参考になれば幸いです。
一緒にクマノミベビーを育てましょう!