【解説】白点病の水槽の大きさによる発症確率の違いを計算してみました。

はじめに

白点病は海水でも淡水のアクアリウムの両方で厄介な病気として知られています。

この病気については様々な情報がネット上に溢れていますが、水量によってリスクが大きく違うことについて言及したサイトは私は見つけられませんでした。今回はその計算結果を記載してみました。

この情報を載せようと思ったのは、ある人の意見では「白点病は風邪のようなものなので、水槽が完成していれば自然に治る」と言われていたりして、確かに前提条件によってはそれは正しいのですが、きっちりと数字で認識しておかないと別の人の水槽環境では自然治癒は難しいと考えられる場合もあり得るためです。

白点病について

以下に水量当たりの仔虫密度のグラフを記載したのですが、その前に計算した際の前提条件について記載しておきます。

白点病を複数が同時に発症することはよくあることなのですが、その起点となるのは大体1匹であることが多いです。

なので、以下のグラフは、最初の1匹が発病して、白点病のライフサイクルが1サイクル回って、水槽に放出されたシストから仔虫(セロント)が放出された際の1リットルあたりの仔虫密度についての記載になります。

いわゆるパンデミック直前の状態ですね。ここでパンデミックが発生するか、しないかが水槽の大きさ(水量)によって大きく異なります。

また、以下の計算は海水でも淡水でも基本的な考え方は成り立ちます。

水量毎の仔虫密度について

魚についた白点の数が100個で、その100個の成虫(トロホント)が時間が経つとシストになります。その場合の1シストあたりに200匹の仔虫(セロント)を放出した場合のグラフになります。式としては非常に簡単で、以下のようになります。単位は匹/ℓなので、1ℓあたりの白点仔虫の数を示しています。

上記のような白点の発生状況の場合、y=20000x-1 (y=仔虫密度 x=水量)  になるので、水量のべき乗で仔虫密度が変化します。

もう少し具体的な数字で見ていくと、30ℓ水槽の場合の仔虫密度は上記前提条件の場合は、667(匹/ℓ)となります。これが120ℓ水槽の場合は、167(匹/ℓ)まで低下します。200ℓ水槽だと、100(匹/ℓ)になり、750ℓ水槽だと、27(匹/ℓ)まで低下します。

30リットル水槽と750ℓ水槽を比較すると、24倍程度仔虫密度が違っています。これは大型水槽だと白点だらけ(100個の白点)の魚がいたとすると、小型水槽の場合に換算すると、4個の白点で同じ仔虫密度になるということになります。

白点の数が4つは、お魚さんの水槽導入時には普通にあり得る数ですよね。つまり、水量によって、相当なリスクの違いがあるということになります。

特に100ℓまでは劇的に仔虫密度が低下します。30cm水槽と60cm水槽、60cm水槽と90cm水槽では大きく発症リスクが異なることになります。逆にある大きさ以上になると、そこまでリスクは変化しません。

 

まとめ

PasyaPasya
パンデミックの発生がなければ、白点病は自然治癒できる可能性もあると思いますが、それが見込めるのは大きな水槽の場合が多いと思います。特に100ℓ以下の小型水槽の場合は、仔虫密度的に不利であり、治療を施した方が良いかなと思います。