【飼育記録】サンゴ水槽のミドリイシにRTNが発生、どう対処したのか。

はじめに

サンゴ水槽で、RTNが蔓延しました。

  • どのような経緯を辿ったのか
  • どのような症状だったか
  • どう対処したか
  • 何故起きたのかの予想

について記録を残しました。

RTNとは何かについては以下の記事を参照ください。

【ミドリイシ】RTNとSTNの定義の国による違いについて

どんな経緯をたどり、どのような症状だったか?

2日前からスゲミドリイシの共肉が剥がれる現象が発生していました。しかし観察のため、取り出さずに水槽内に入れていました。

2日前のスゲミドリイシの状態です。

 

スゲミドリイシの共肉が剥がれてから2日後、ストロベリーショートケーキ、ハイマツミドリイシ、トゲサンゴの共肉が突然一気に剥がれ始めました。

以下に写真を掲載しますが、まずいタイプのRTNだと判断しました。判断根拠は、様々なミドリイシが一斉にRTNの症状を発症したことです。

1つのミドリイシだけで急速に共肉が剥がれたとしても、止まる場合もあります。今回の場合は複数のサンゴに同時発生しており、緊急度、重要度共に高い危険なRTNと判断しました。

RTN蔓延時のスゲミドリイシの状態です。さらに共肉剥がれが進行しています。

 

ストロベリーショートケーキの病変です。

 

こちらはハイマツミドリイシのフラグの根元に病変が出ている写真です。

 

 

トゲサンゴのRTNは点々に進むことが多いです。端からどんどんペロリとめくれる症状ではなく、点状に病変が散発する事例しか見たことがありません。

 

最終的には、このように繋がって白化部分が増えていきます。

 

対処方法

対処は3つに分けて行いました。

  1. 病変のカット
  2. ディップ
  3. 水温を落とす

 

カット

病変部を切り落としました。

カット方法はルーターよる破断面形成→剪定ばさみによるカットです。アクリル板をカットする際に、傷をつけて割ってカットする方法があると思いますが、あれと同じイメージです。

プロクソンのミニルーターと剪定ばさみ

 

カット後のストロベリーショートケーキです。1/4程度を失いました。

 

ディップ

カットしたサンゴは、SeachemのReefdipを使ってディップを行いました。Reefdipの成分は、ヨウ素です。Seachemのウェブサイトには、「iodine complexed to a protective slime coat」との記述があり、ヨウ素以外にも何らかの成分が含まれているようです。

SeachemはSDSを公開してくれているのですが、Reefdipについては企業秘密として記載されていませんでした。

 

水温変更

水温を27℃から26℃に1℃落としました。一気に他のサンゴに同様の症状が出たことから細菌感染を疑い、水温を1℃下げました。何故水温を下げるのかについては、以下の論文のデータにある線形回帰分析結果fig.2を参考にしたためです。

実際のデータは以下のようなきれいな曲線にはなっていませんが、ひとまず線形回帰分析の結果をグラフに直したものが以下の図になります。2次曲線で細菌数が増えているというデータになっています。1℃の変化でも随分と影響があるかもしれないと考え、水温を1℃落としました。

対象の細菌がVibrio vulnificusなのかどうかは分かりませんが、参考にしました。

Mark A. Randa, Martin F. Polz, and Eelin Lim
Effects of Temperature and Salinity on Vibrio vulnificus Population Dynamics as Assessed by Quantitative PCR
Appl Environ Microbiol. 2004 Sep; 70(9): 5469–5476.

1日経過後の状況

4時間経過後

今のところ、フラグにしたサンゴの共肉の剥がれは起きていません。

失ったサンゴは以下の通りです。

  • ストロベリーショートケーキの1/10程度(カット部は全てフラグになり、何とか生きています)
  • ハイマツミドリイシのフラグ
  • トゲサンゴの半分

 

8時間経過後

ストロベリーショートケーキのフラグが4つRTNの症状が発生しました。

何故、RTNが発生したのか?

まだ記事に出来ていないのですが、BPリアクターのポンプが外れるという問題が発生し、栄養塩が増加、バクテリアバランスが崩れたのか、様々なサンゴの色落ち、不調が発生していました。

それにより、ストロベリーショートケーキはポリプを出さなくなっていました。さらにシアンが消えてしまっていました。他にもスゲミドリイシは明らかに色が濃くなりすぎている状態でした。

  • バクテリアバランスの崩壊
  • ミドリイシの不調

これらが重なったことにより、RTNが発生したのではないかと予想しています。

 

まとめ

BPリアクターのポンプが意図せず外れていたというのは、仕方がなかったとはいえ、その後スゲミドリイシを取り出さなかったことは判断ミスだと思います。あくまで結果論ですが、スゲミドリイシを取り出していれば、ここまでの被害は発生していなかったでしょう。

しかし、水槽前に2時間ほど張り付いて、観察したことで病変の進行が止まらないと即座に判断できました。これにより被害を最小限に抑えることが出来たのは不幸中の幸いでした。

RTN蔓延時の対処方法としては、オーソドックスな対処方法を行い、何とか今のところ蔓延は抑えられているので、早々にサンゴの状態を戻すための次の策を練りたいと思います。