【飼育記録】カクレクマノミの繁殖④【アクアリストの妻目線】

今回の改善点

前回の記事に引き続きまたまたカクレクマノミの繁殖のおはなし。
生餌を沸かしてみたことで魔の2日目の夜に全滅という悲劇は避けられたものの、たくさんの稚魚達を育て上げることはできませんでした。
今までの反省点も踏まえ、今回はさらなる改善を行うことにしました!

◆捕獲を丁寧にする

実は以前に生まれた稚魚を捕まえていた時は夫が中心となって捕獲してくれていたのですが、ある時、大きめの計量カップを使って一気に稚魚を捕獲するという方法をとったことがあります。

捕獲もすぐに終わるし、この方法いいなあと思っていたのもつかの間、次の日の朝には全ての稚魚が全滅してしまっていたということがありました。
この理由が『捕獲の仕方が荒かったから』かどうかは分かりませんが、ネットで情報を集めていると「稚魚は遊泳能力が弱く、流れが強いと溺れてしまうしまう」「エアレーションが強すぎて溺れることも」との記載があり、ガバッと捕ってザザッと入れていたのも良くなかったのではとの結論にたどり着きました。

稚魚が生まれるのは夜なので、これがなかなかつらい時もあります。
我が家には2歳の暴れん坊将軍がおり、先に寝かすのですが、こういうときに限って子供って寝ないんですよね…。やっと寝てくれたと思ったら「もう夜中やん」ってなこともしばしば。
また、水槽内のポンプを止めて真っ暗にしてから稚魚が生まれるまでの時間が日によってまちまちで、早ければ45分くらいで生まれ始めますが、遅いと1時間半くらいかかることも。

それでも小さなコップを使ってゆっくりと掬うようにしました。

生まれたことを確認してから、携帯のライトを使って稚魚を誘導して捕獲するのですが、ガバッと捕れないのはかなり大変でした。(少し神経質になりすぎていたかもしれませんが…汗)
ですが、これも稚魚のため。作業が遅くなって眠くても、時間が掛かって辛くても、とにかく丁寧にゆっくり捕獲することを心がけました。
隔離水槽内に入れるときもなるべくゆっくり、丁寧に…。
おかげで次の日腕が筋肉痛になりました(笑)。

◆餌は複数種類を入れる

前回はとにかく生餌を!と思い、毎日ブラインシュリンプを沸かしてそれだけを与えていました。ですが、生まれたての稚魚は思っているよりも小さく、生まれたてのベビーブラインシュリンプでも大きすぎて食べられないことがあるのではと考えました。
その為今回は、前回同様ブラインシュリンプを沸かしつつ、冷凍ワムシと乾燥餌のアンブローズを併用して少しずつ与えることにしました。
冷凍ワムシとアンブローズは基本的に昼と夜の2回、ベビーブラインシュリンプは毎日沸かして一日1回のペースで与えてみました。

餌は与えすぎると水槽内が汚れるので、多くあげすぎないように量を調整することにも気を配りました。生餌に関しても沸かす量を調整し、無駄が出ないよう工夫しました。

 

◆夜に明かりをつける

はじめの頃は稚魚の事を普通の魚と同じ認識で見ていました。以前飼育していた淡水水槽のプラティー達は、何もしなくてもどんどん生まれ、勝手に成長していったのを見ていたこともあると思います。
ですが、カクレクマノミの稚魚たちは夜の間にその多くが死んでしまいます。これには何か理由があるはずだと考えました。
もし、人間の赤ちゃんと同じように昼夜の区別がなく、常に寝たり起きたりを繰り返しているのだとしたら…。夜に起きた子たちは、暗くて何も見えず、ご飯も食べられなくて餓死してしまう…といったこともあるかもしれません。

このことから、今回は夜に稚魚水槽だけを照らす照明を取り付けてみることにしました。
以前から書いているように、我が家は稚魚のための隔離水槽を別で用意はせず、本水槽内に隔離ケースを取り付けてそこで稚魚を飼育しています。本水槽の明かりをつければ解決!と言いたいところですが、それでは稚魚以外の魚たちが眠ることができません。
その為我が家では水槽の近くに置いてあったデスク用ランプを夜に光らせ、ぼんやりと稚魚水槽だけを照らせるようにして対応してみることにしました。月明りくらいの明るさがあれば、夜でも稚魚は周りを見ることができるはずです。

 

◆毎日掃除をする

以前ネットの情報を見ていた時に「最初の2週間くらいはフィルターをつけたり、水槽内の掃除をしなくても大丈夫」との記載がありましたが、我が家は前述したように稚魚用の別水槽を用意していません。稚魚たちのスペースはとても小さい為、汚れの影響も大きいのではと考えました。

また、稚魚たちは昼も夜も寝たり起きたりなのですが、眠る時には必ず水槽の底面にとどまるような状態になります。
生餌のみの時でももちろんなのですが、冷凍ワムシや乾燥餌を入れると、一定時間水中に漂った後に底面に落ちてしまうため、底面でじっとして眠っている稚魚たちに影響がないとは言い切れません。その為、隔離ケースの底面は毎日掃除するようにしました。

掃除の方法としては、スクレーパーで底面の汚れを端に寄せ、スポイトで吸い取るだけ。コケなどが出てきた場合も、同様にして綺麗にするようにしました。

 

稚魚の生存率は・・・?

さて、様々な改良を行って、稚魚たちはどうなったのか…。
なんと!今回初めて10匹の稚魚たちを育て上げることが出来ました!今までで一番たくさんの稚魚が生き残ってくれたこと、とても嬉しいです。
と言ってもまだ10匹。一度に生まれてくる稚魚は約200匹ほどはいるので、まだまだ改善すべき点はあるのかなと思いますが、今回の改良に一定の効果があったことは間違いないかなと思っています。
一番大きい変化として感じたのは、夜の間に死んでしまう稚魚の数が減ったこと。夜の稚魚水槽に明かりを与えてあげることはかなり効果があったのではと思います。

稚魚たちは生後約2週間ほどでクマノミらしい赤色や白い模様が出始め、3週間もすると体つきがしっかりとしてきます。ここまでくると多少の汚れや、強い流れにも強くなってくるので、少し気持ちが緩んでも問題ありません。
ただ、このあたりで次のクマノミベビーたちが生まれてくるので、実質気が休まるときはほとんどないのですが…笑
毎日の作業は大変ですが、だんだんクマノミらしい体つきになって一生懸命泳ぐ姿を見ていると、何とも言えない達成感に満たされます。何よりめちゃくちゃ可愛い!頑張ってよかったです!

 

今回のブリードで分かったこと

一番最初の卵たちから5匹の稚魚を無事に育て上げることができたものの、そのあとが続かず、何度も悔しい思いをしましたが、ようやく我が家のクマノミブリードの形が固まってきたのかなと思っています。
私たちが実践したことが全てではなく、他の様々な環境要因があったのだろうと思いますが、我が家なりのカクレクマノミブリードにおいて大切にしたポイントをまとめようと思います。

とにかく扱いを丁寧に

カクレクマノミの稚魚は、想像しているよりもずっと繊細です。少し強い水流に巻き込まれたり、衝撃を与えてしまうだけですぐに☆になってしまいます。特に
・捕獲の時(稚魚を集めるには光のみを使うこと。流れを起こさない。)
・隔離水槽に入れるとき(捕獲時に使ったコップや容器ごと水槽内に沈めるようなイメージで。)
・隔離水槽内を掃除するとき
・エアレーションの強さ
には一番気を使いました。
クマノミベビーは生後2週間ごろから体が色づき始め、クマノミらしい姿になってきますが、このころでもかなり流れなどには弱い印象を受けました。隔離水槽内の掃除をするときに大きな流れを起こしてしまったり、エアレーションが強すぎると耐えられないこともあります。我が家では生後3週間くらいまではとにかく丁寧に扱うようにしています。

 

いろんな餌を用意する

様々な稚魚用の餌を用意し試しましたが、これさえあれば大丈夫!と言えるものは無かったかなと感じています。それぞれの餌に良さがあり、稚魚も個体差があるため皆が同じものを同じ時期に摂取できているわけではないことから、餌は複数種類用意したほうが良いと思いました。
餌に関しては他にも様々な種類があるので、あくまで参考程度にお考え下さい!
◆我が家で用意した稚魚用餌
・冷凍ワムシ

・アンブローズ100(乾燥餌)

・ベトナム産ブラインシュリンプ(生餌)
与えるペースですが、冷凍ワムシとアンブローズは基本的に昼と夜の2回、ベビーブラインシュリンプは毎日沸かして一日1回与えています。
これは出来ればですが、生後4、5日までは冷凍ワムシまたはアンブローズ(もしくは両方)を一日4回くらいのペースでこまめに与えたほうが、我が家の稚魚たちの生存率が上がったので、昼間は私がそのように対応しています。
餌を入れるときはスポイトを使って優しく入れてあげるようにしましょう!

 

常に水槽内の状態を綺麗に

これはクマノミベビーたちの隔離水槽の形によっても異なると思うのですが、我が家の隔離水槽は本水槽内にケースを取り付けたようなもので、スペースとしてはとても小さい状況です。
生まれてから何日かは餌を頻繁に与えることもあり、水槽底面がとにかく汚れてしまうのが気になっていました。目立った大きな汚れなどはスポイトで吸い取るようにしていましたが、ある日スクレーパーで底面をなぞったところ、ごっそりと汚れが積もっていたことに気づき、「これはやばい!」とそれから毎日底面を掃除するようになりました。
この行為に効果がどれほどあるのか分かりませんが、稚魚の生存率としては上昇が見えたので、今も毎日頑張っています。

また、水槽内の水も毎日半分水替えをしています。
とにかく我が家の隔離水槽は小さいので、少しの汚れも致命傷になりかねません。稚魚用に新しい海水を用意するまではしていませんが、本水槽内のフィルターやスキマーを通して循環している水と半分交換するだけで濁りや澱みがなくなって綺麗になります。

 

夜は明かりを

ちょっとしたものでいいので、隔離水槽内を照らす照明があったほうが良いと思います。我が家ではこれによって夜の生存率が格段に上がりました。
ずっと観察をしていると、やはり稚魚たちは昼間でも寝たり起きたりを繰り返していて、昼夜の区別がついていない様子でした。生まれてから日が経つにつれ、昼はずっと起きて夜に寝るといった様子に変わりますが、そうでない間は夜の間も稚魚が活動できるよう、水槽内を照らせる照明を付けてあげたほうが良いのではと思います。

 

アクアリウムは楽しい!

なかなか大変なことも多かったですが、今回のブリードを通して様々なことを学べたのではないかと思います。なんだか知識が深くなって、勝手に自信が付きました(笑)。
昼間は夫が仕事でいない分、カクレクマノミのブリードは主に私が中心になって取り組んだので、育った稚魚たちが我が子のようでとにかくかわいいです。
私のように知識がなくとも、ちょっとした工夫やアイデアで育て上げることができるので、クマノミさんが卵を産んでいるのを見かけたらぜひ、チャレンジしてみてください!
この記事がアクアリウムを楽しむ方の力になれば幸いです。