実態紹介シリーズについて
このシリーズは、図鑑では知ることのできないお魚たちの実際の生活状況をご紹介する内容となっています。
実際に飼育したからこそわかるお魚達の生活実態や、他の魚との共存の様子など、お魚たちの真の姿を伝えていけたらと思っています。もちろん、魚には個体差もありますので全てのお魚が我が家と同じ状態になるとは限りませんが、「こんな性格の子もいるんだ」「こんな飼育の仕方もあるんだ」と参考にして頂けたらと思っています。
お魚たちの個性あふれる、ちょっぴりユニークな一面をお楽しみください!
私のお気に入り「タテジマキンチャクダイ」
水槽を始めるにあたって、やはり一番に考えることは「どんな魚を入れるか」ではないでしょうか?
我が家も夫と私で(だいぶ)好みが違うため、この魚は?こんなのも入れてみたい!とアクアリウムショップに出向いては主張しあっていました。
お魚のバランス的に大型魚は1匹、中型魚を3匹まで、小型魚はバランスを見てと言われていて、夫の中では最初からどの魚をいれるのかある程度決まっていたようでした。
そんな中、たまたま入ったお店に展示されていたタテジマキンチャクダイに一目惚れ。
「タテジマキンチャクダイは大きくなる。大きい魚はクイーンエンゼルを入れたい」と夫に言われてしまいましたが、諦めきれなかった私。(我が強すぎる)
何度もお願いするうちに、ついに折れた夫が水槽に迎え入れてくれたのはウズマキヤッコでした。
初めてウズマキヤッコを見たときは「何だこの魚は」と思ってしまった私。
「ウズマキヤッコ」は俗称で、タテジマキンチャクダイの幼魚だとは知りませんでした。(ただの知識不足)
夫も意地悪く、これは何と聞いても「ウズマキやで」の一点張り。正直その時はタテキンを入れてもらえなかったと思い込み、とてもショックでした。
のちに「これがタテキンになるんだ」と言われ、知識不足を指摘された事と成魚で入れてもらえなかったことに、やや怒りモード。
だって全然違うやんか。ずっと見てたらチカチカする柄やし・・・。
いきなり薬浴
と、私の怒りはさておき、我が家にやってきたウズマキヤッコは「スバル」という名前にすることになりました。(例のごとく、私の独断と偏見です)
この時我が家では150㎝の水槽を立ち上げたばかりだったので、入居予定の魚たちはいつにも増して細かく身体チェックをするようにしていました。病気や寄生虫を持ち込まれてしまっては大変ですし、水槽が大きい分、一度入れてしまうと調子を崩したときに取り出してあげることが難しくなるからです。
◆スバルの体は・・・
悲しいことにスバルの体には怪しいあやしい怪しい白い点が・・・。
「白点病っぽい」という夫の言葉にうそやーん!!とまたショックを受けてダブルパンチを食らった気分。でもこればっかりは仕方ありません。
白点病はポピュラーな病気ですし、治癒も可能ですが、侮れば最悪のケースを引き起こすこともあり得ます。ましてや大きな水槽内で蔓延してしまっては大変です。幸いなことに治療薬を用意できていたことと、隔離できる別水槽があったので、早々にスバルは別荘暮らしして頂くことになりました。
我が家に来てすぐのタテジマキンチャクダイ
隔離水槽で薬浴し始めた当初はやや元気のない様子でしたが、次第に餌もしっかりと食べてくれるようになり、回復の兆しが見えました。それでもやはり今までつらかったのか痩せてもいたので、薬浴をするだけでなくしっかりと元気になるまで隔離したまま過ごしてもらったのち、本水槽に引っ越しさせました。
スバルの別荘暮らしは大体2~3週間ほどだったと思います。最初に見つけた白点の数からすると長めの隔離期間でしたが、とにかく新しい水槽に病気を入れたくないとの夫の思いもあり、慎重に治癒させたのを覚えています。
穏やかでみんなと仲良し
薬浴を終えて本水槽に引っ越しをさせる際に一番気になったのが、他の魚との縄張り争いです。
ウズマキとして我が家にやってきてくれた当初は、小型ヤッコ達より気持ち大きいくらいかなといった大きさでした。
ヤッコ達は必ずと言っていいほど自分たちの強さを順位付けします。
スバルが隔離水槽で別荘暮らしをしている間に、先に入っていた小型ヤッコ達はケンカしながら順位付けをし、それぞれが縄張りをもって暮らし始めていたので、そこにスバルが入るとどうなるのか・・・がとても心配でした。
また、タテジマキンチャクダイは大型ヤッコに分類されるお魚です。さらにタテキンはある程度気が強い魚であることも知られています。
夫は大型ヤッコとしてはクイーンエンゼルを入れる予定だったため、妻にねだられたタテキンは幼魚の段階で入れれば仲良くしてくれるかもと考えていたようでした。
もし両方とも成魚で入れていたら・・・骨肉の争いになっていたかもしれません。
ただ、まだ子供といえどタテキンであることには変わりありません。もしかしたらケンカする?はたまたクイーンエンゼルに攻撃されてしまうかもと懸念していました。
◆本水槽内でのスバル
私たちの心配をよそに、スバルはとても簡単に水槽内に溶け込んでくれました。
小型ヤッコ達の事はほぼ無視状態。水槽に入れてみるとやはり小型ヤッコよりも一回り大きい感じでしたが、追い回したりケンカすることもなく仲良くしてくれました。
やはり大きくなった時の格の違いが判るのでしょうか?それともスバルが穏やかタイプなだけ?
もう一つ懸念していたクイーンエンゼルとの共生もうまくいきました。
夫の狙い通りかはわかりませんが、ケンカや攻撃もなく、最初から一緒にいましたけど?くらいの穏やかぶり。
小さいから良いのか、はたまたあのチカチカ柄が良いのか分かりませんが(言い方よ)、大きな争いもなくすんなりと混泳に成功しました。
◆どうやらだれとでも仲良くできる子らしい
本水槽投入時は誰ともケンカせず、とてもスムーズになじんでくれたスバル。
大きくなってからもそれはあまり変わりませんでした。
後から入居してきたパッサーエンゼルやキイロハギとも仲良しで、特にキイロハギとは同じ家の中で仲良くくつろいでいるときもあるくらいの仲です。
完全に体の模様が変わり、成魚となってからはキンギョハナダイをたまに追いやったりしてますが・・・。戯れてる程度で問題ないかなと見ています。
これからどんどん気が荒くなってくるのか、それともスバルが元々大人しい性格なのかは分かりませんが、今のところ大きな争いもなく平和な暮らしをしてくれています。
皮膚が弱い?
初めて我が家に来てくれた時も病気を持っていましたが、本水槽に入ってからも何度か体調を崩したスバル。
隔離して薬浴!ほどまでではなかったですが、水槽全体の何かのバランスが崩れたときに、一番過敏に反応する気がします。
症状としては体の模様がまだらに剥げたようになり、色が抜けてしまうんです。
幼魚の時のチカチカ模様(だから言い方)が変形し、成魚に近づいてからは特に顕著にそれが現れました。
「ご飯も食べてるし、普通に泳いでいるけど、色が変」という状態になります。
色が抜けてしまったタテジマキンチャクダイ
タテキンは皮膚が敏感で比較的弱いほうなのだそうです。
その為、体調を崩したりストレスを感じると体表に変化が出てしまうのだとか。人間の肌荒れと一緒ですね。
とても敏感なので、水槽内の状態のバロメーター代わりになると言っても良いかもしれません。
病気はもちろんの事、長く水流を止めてしまったりするだけでも、本人が辛いと感じると体の表面が変化しSOSを伝えてくれます。
我が家でも、他の魚は元気にしていても、タテキンの模様が変なように感じたときは、水槽内の状態をよく観察するようにしています。
実際にタテキンの状態の変化から数日後に、エラムシに寄生されたような症状(痒そうに首を振ったり、狂ったような泳ぎ方をしたり、スカンクシュリンプに何度もエラの掃除を頼みに行くなど)が出たお魚たちが出てきたため、恐らくエラムシではないかと推測し、治療を行ったこともあります。
これぞエンペラー!!
我が家の水槽に来てくれてから1年と8か月ほど。
ようやくスバルの模様がウズマキ柄から完全な横ストライプに変わり、待ち望んだタテジマキンチャクダイの姿になりました。
とにかくめっちゃかっこいい。模様ももちろんの事、目元のサングラスみたいな黒の部分とか、白と青と黄色のコントラストのとことか、それからそれから・・・。
話し出すと止まりません。(笑)
来てくれた当初から病気も持ってたし、そのあとも何度か体調崩して心配したこともあったので、無事に成長してくれたことが感慨深すぎます。
夫は水槽に入れた当初から「うちの水槽は女王制。クイーンエンゼルが一番や!!」と言ってきていましたが、タテジマキンチャクダイの英語名は「エンペラーエンゼルフィッシュ」。
「女王なんて怖くない。こっちは皇帝や!!」と最近言い返しています。(しょうもない言い合い失礼しました。)
今はまだスバルの体も小さめでクイーンエンゼルの天下ですが、いつか心優しい皇帝が天下を取ってくれる日を密かに楽しみにしています。
その時はどうか大きな争いが起こりませんように・・・。
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