【飼育記録】我が家のお局的存在、イエローヘッドジョーフィッシュ【アクアリストの妻目線】

我が家のお局様

我が家の水槽にはイエローヘッドジョーが1匹暮らしています。
名前は「ライム」と言います。(私の独断と偏見により名づけました)
自分で言うのもなんですが、めちゃくちゃ美人でかわいい女の子のジョーです。

夫が海水水槽を始めてから4年ほど経ちますが、立ち上げ当初に夫の誕生日プレゼントとして私がペアで購入したうちの一匹でした。
我が家にやってきたときはペアだったので、男の子を「レモン」女の子を「ライム」と名付けて可愛がっていました。

ジョーは基本的に憶病な子が多いと聞きますが、うちに来てくれた子たちはみな結構自己主張の激しい(笑)ジョーだった気がします。
その中でも現在本水槽で暮らしている「ライム」は波乱万丈の人生を過ごしてきた強者です。
ふと気づけば一番最初から現在までずっと一緒に暮らしてくれている、我が家の水槽内のお局様になっていました。

いろいろあった「ライム」の人生①

はじめは男の子のジョー「レモン」とペアで仲良し夫婦だった「ライム」。
初めて入れた水槽はサンゴ砂の下地にライブロックを入れた環境だったので、一心不乱に穴を掘り、2匹一緒に穴に入る姿はとても愛らしかったです。
ライムは穴掘りが苦手だったので、レモンが掘った穴に我が物顔で住むという状況でしたが(笑)。
何にせよ仲睦まじい姿を見せてくれていました。

悲劇は突然に
ところが悲劇は突然訪れます。
水槽内でその当時一番大きかったイマズマヤッコがストレスから病気にかかり、水槽の中の環境バランスが崩れてしまいます。
お魚たちは全員避難させ、薬浴をすることになりましたが、その際にライムの夫「レモン」が帰らぬ魚となってしまい、ライムは未亡魚に・・・。
ライムも白点病にかかっていましたが、薬浴で回復し一命をとりとめました。

新しい仲間
崩壊のあと、水槽をリセットした際に大切なジョーを失ったことがショックだった夫は、ライムの新たな夫となるジョーを探し出していました。
新しい水槽には「ライム」とのちに再婚相手となる「ミント」、そしてもう一組のジョーのペアの計4匹のイエローヘッドジョーが入ることとなりました。
4匹はとても仲良しで常に一緒にいましたが、美人なライムをオス2匹が取りあうような場面もしばしば・・・。
もう一匹のメスのジョーが夫に追い出されて家を失うこともあったり。(ふんっ!いいわよ!って感じで自分で穴を掘って別居してましたが)
昼ドラのようなやり取りを経て、最終的に「ライムとミント」のペアともう一組のペアに収まりました。
これで一件落着となればよかったのですが、この後もライムはまだまだ災難に見舞われることになります。

生き埋め事故
ライムの新たな夫である「ミント」はとても体が大きく、何より家作りがとても上手なジョーでした。

↑体が大きく、男らしい「ミント」

来る日も来る日も朝から晩まで穴を掘り続け、水槽内の地形が大きく変わってしまったほど。
あまりに真面目に掘るあまり、彼の作った家はライブロックの下におおきな洞窟のように広がっていました。

働き者の夫が作り上げた洞窟ともいえる大きな家に住んでいたライムでしたが
ライブロックの上に乗せていたサンゴが落ちた衝撃で家が崩れ、彼女は生き埋め状態になってしまいます。
幸い家がとても広かった為、窒息することは無かったようですが、出入り口が塞がれてしまい、どうすることもできない状態に・・・。

このとき私たち夫婦は「近頃ライムを見かけない」と心配していたものの、事態の深刻さには気づいていませんでした。

生存を確認
家が崩壊してから1週間ほどたった頃、ようやく私たちは「やっぱり何かがおかしい」と思い始めました。
はじめは「飛び出し」を心配し、あたりを捜索しましたが、姿は見当たらず。
どうしたものかと悩んでいると、水槽越しに見えた砂の隙間にちらりと顔が見えました。
どうにかして出ようと自分で穴を掘り進め、端っこにたどり着いていたようですが、上に掘ってくれなければ出てくることはできません。
それでも生きている。姿が見えた!と私たちは喜ぶと同時に、彼女をどうやって助けようかと悩み始めました。

痛々しい傷跡
ライムの生存を確認してから数日たったころ、水槽の手入れをしていると突然地面の砂がうごめきだします。
「なにっ!?」と思った瞬間、そこから飛び出してきたのはライム!!
一時はどうなることかと心配でしたが、なんとか自力で這い出てきてくれたようでした。

しかしながら、その体は長期間餌を食べられなかったことで痩せ細り、頭には家が崩壊したときにできたのであろう内出血の跡が見られました。
魚は弱っていたり、病気になってしまった仲間を自分たちのテリトリーから追い出そうとする習性があります。ライムも相当弱っている様子だったので仲間外れにならないか心配でしたが、ひどくいじめられることもなく、その後順調に回復していきました。

いろいろあった「ライム」の人生②

この後我が家の海水水槽は幅30㎝のものから150㎝の水槽にリニューアルしたため、ジョーたちもお引越しをすることになりました。
引っ越しを終えてからも仲良く4人で暮らしていたジョーたち。
家の崩壊を防ぐため、以前の水槽ほど多く底砂を入れなかったため、岩の隙間や小魚の家対策として入れた塩ビ管をうまく家代わりにしながら生活してくれていました。

仲間と夫「ミント」との別れ
ジョーは何かの拍子に驚くなどして飛び出すことがある、とジョーの飼育を検討された方は聞いたことがあるかと思います。
我が家の新しい水槽も、その飛び出し対策を施したものにしていましたが、残念なことに1匹の女の子のジョーが飛び出してしまいます。
これにより男2女1の三角関係になってしまい、またもや美人ライムの争奪戦になっていましたが、大ゲンカするという事はなく、ライムがどっちつかずな状況といった様子でした。

微笑ましいと思っていたのもつかの間、今度は突然ライムの夫である「ミント」の体調が崩れ始めます。家となっている場所の中に引きこもり、出てこなくなったのです。
前述したとおり、「ミント」はとても働き者だったので姿を見ない日など今まで一度もありませんでした。
これは何かあったと思いつつも、出てきてくれない為に助けることも叶わず、最後に見かけたときにはとてもぐったりしていて、ついには帰らぬ魚に・・・。
正直「ミント」は我が家のジョーの中で一番体が大きく、健康体に見えていたため、私たちにとって「ミント」の悲劇はとてもショックだったことを覚えています。
2人目の夫を失ったライム。彼女はまた未亡魚になってしまいました。

3度目の結婚
つらいときに優しくされると、惚れてしまうなんてことがありますが、ライムもそうだったのかもしれません。
「ミント」を失い傷心中のライムでしたが、いつの間にやら以前ライムを「ミント」と取り合っていたもう一人の男の子のジョー「サンショ」と暮らし始めるようになりました。

↑優しく不器用な「サンショ」

残念ながら「サンショ」はあまり家作りが得意でなく、ライムと同じくらいのスピードでしか家が作れなかった為、家は別居状態でしたが(笑)
でも岩の下では家同士が繋がっていたようだったので、なんだかんだ仲良しだったのかもしれません。
このころ、私たちはヤドカリたちの新しい家を提供するために、カラフルできれいな貝殻を購入し水槽内に入れていたのですが、ライムがそれを自分の家の前に並べて飾ってしまうなど、女の子らしい一面も見えとても可愛かったです。(でも貝殻は取らないでほしい)

悲しい現実
3人目の夫「サンショ」との穏やかな生活が続いていました。
一度だけですが、「サンショ」が口の中に卵を持っていたこともあります。その時はどうしてよいかわからず、気が付いたときには無くなっていて残念だったのを記憶しています。
相変わらずの別居状態だったので、2匹同時に見かけるというよりは、各々違う時間帯に顔が見えるといった状況でした。
ところがある日私の夫が言い出します。「サンショがいない。」
まさかと思いましたが、どんなに探しても姿が見当たりません。ついにはライムが今まで住んでいた場所と違うところに身を隠すようになったため「何かが起きた」ことは明白でしたが、真実が分からず。
後日、「サンショ」は何らかの理由で飛び出してしまったことが分かりました。

「今日も私は元気だよ」


多くの仲間との別れや、災難に見舞われ、病気も怪我も心の傷もたくさん経験してきた我が家のイエローヘッドジョー「ライム」。
それでも今日もその美しい体をひらめかせて、元気に泳いでくれています。
たくさんの苦難を乗り越えてなお力強く生きる姿には、勇気とあきらめない大切さを感じます。

水槽という小さな世界の中ですが、彼女がその人生を全うできるよう、最後まで大切に育てていけたらなと思います。
これからもずっと一緒にいてね!そして、たくさんの学びをありがとう「ライム」!!