はじめに
前提条件について
グラフにも記載していますが、汚染の場合は単位時間あたり2mg/ℓ汚染物質が増加する前提で計算を行いました。換水の感覚は単位時間が週なら週で月なら月で考えてください。
また、必要元素(グラフではカルシウムを例に挙げています)が単位時間あたり(毎週でも毎月でも構わないです)10mg/ℓ(単位は違いますがppmで考えても不都合ありません)増加した場合の結果を載せました。
汚染物質の増加について
今回は硝酸イオンが増加する場合で考えてみます。単位時間は毎週だとします。
毎週増加する硝酸イオンが2mg/ℓとすると(言い換えると、換水しない場合にどれだけ硝酸イオン濃度が上がるかということです)毎週の換水比率によって硝酸イオン濃度の到達地点が決まることがグラフから分かります。
頑張って換水しているのに、硝酸イオン濃度が下がらないという場合は、換水比率が汚染物質の増加量に対して足りていないということになります。
このことからサンゴ水槽の場合は換水で硝酸イオンを1mg/ℓ以下にするのは換水で維持するなら80%以上行う必要があるような気がします。これは実際不可能に近そうです。
淡水アクアリウムなら10mg/ℓ程度はどうってことはないため30%換水を行っていれば魚には支障はなさそうです。
ただし、コケの発生を抑制するために硝酸・リン酸それぞれを1mg/ℓ以下程度に抑制したい場合は80%以上の換水が必要になり現実的ではありません。
硝酸イオンなら水草がたくさんあれば、増加量を0mg/ℓまで持っていけるかもしれないですがリン酸が難しいと思われます。この辺りが黒髭苔がどうしても出てしまう理由のような気がします。
必要物質の減少ついて
逆に必要な物質が減少する場合を考えてみます。単位時間は毎週で考えています。
今回は海水アクアリウムのカルシウムを例にとってみました。
初期値410mg/ℓなので、人工海水のカルシウム濃度が410mg/ℓのものを使っている前提です。ミドリイシ等のSPSがたくさんいればかなりの速度で減少する元素ですが、これを換水のみで維持するのは大変難しそうな結果となりました。
毎週10mg/ℓの速度で減少すると考えても400mg/ℓを維持するには毎週50%の換水が必要になります。SPSを飼うような水槽は水量が大きいものが多く毎週100ℓ以上の水換えを行うのは、やってやれないことはないですが現実的ではないように思います。
まとめ
今回の結果を考えると以下の結論を得ました。
- 定期的な換水をしていれば、どこかで汚染は頭打ちになり、必要元素の消費も下げ止まりになりそうです
- 単位時間あたりの消費量or汚染量によって換水比率が決まります。消費量が1mg/ℓの場合と10mg/ℓの場合では必要な換水比率が変わります。これは非常に重要で環境によって必要換水比率が変化するということを指しています
- 上記2より如何にして汚染自体を直接取り除くかが1回あたりの換水割合を下げる場合のキーとなります。この辺りの背景から特に大規模換水が難しい海水アクアリウムではBPシステムなどが発展したと考えられますね!
- 大きい水槽の方が消費or汚染量自体が減るため有利に思えますが、換水比率を割合で計算しているため、必要な換水量(ℓ)自体は変わりません。100ℓの水槽で40%換水が必要であれば400ℓなら10%換水でよいが必要換水量は40ℓで変化しません。つまり、大きい水槽の方が安定するといわれているのは、時間に対して変化が緩やかなため少しサボっても多めに換水すれば許容できるためと思われます。
- 単位時間あたりにどの程度消費or汚染されるかのデータが明確にないため明言はできないのですが、感覚的には魚やサンゴが多くいる場合は、換水は40%以上行わないと必要な元素が足りなくなる可能性が高いように感じています
- 上記の5より40%もの換水を定期的に行うのは特に海水では大変であり、沢山のサンゴを飼う場合は消費される元素は添加剤で補う方が合理的のように思われます。換水は添加剤により崩れたイオンバランスを戻すために月単位で大規模に行う方が良い結果をもたらしそうです
- 換水をするなら小規模換水をたくさんやるより、大規模換水の方が効率はよいですが、サンゴなどが入っていればそれは難しいかもしれません。水草の場合は少々水がなくなってもすぐに戻せば問題ないため大規模換水は有効に思われます
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