はじめに
まだ学生だったころ、7年間無換水、ノーメンテナンスで金魚水槽を維持していました。
当時は硝化サイクルの知識もなく、本当に無知でしたが、奇跡的に7年に渡って、金魚を足し水と餌やりのみで維持していました。
何故あんなことができたのか、今更ながら考察してみます。何故今さら考察するのかというと、無換水飼育に関してのヒントが見つかるかもしれないと思いついたためです。
当時の飼育環境
以下にまとめましたが、水槽に金魚と水が入っていただけの水槽です。そんな水槽でしたが、中学生の時にお祭りで掬ってきた金魚が生き続けました。私のアクアリウムの原点です。
水槽サイズ
60cm水槽
濾過システム
なし、上部も外部も外掛フィルターもなし
クーラー
なし
ヒーター
なし
餌
ヒカリの何か。ヒカリであったことだけは覚えています。ヒカリの金魚用かな。
金魚の種類
和金
お祭りの金魚すくいの金魚
底砂
大磯砂。よくある金魚用の砂を敷いていました。
水草
なし
亡くなってしまった時の金魚のサイズ
15cm程度はありました。かなり大きく、自分の手のひらと同じサイズだった記憶があります。
水温は?
設置場所は玄関でした。玄関で夏場でも結構ひんやりしている場所でした。冬はその代わり冷え込む場所なので、10℃~30℃の間でばらついていたと思います。
たまたま出来ていた硝酸塩対策
無換水だけではなく、掃除も一度もやりませんでした。そのため、餌の残りや糞が溜まり、水槽の底砂はヘドロにより見えなくなっていました。
しかし、これが良かったように思います。
自然界では窒素循環が行われており、生き物がアンモニアや尿酸として排出した窒素が酸化されて硝酸塩になり、植物が肥料として成長し、それを生き物が食べる。または脱窒により、大気に窒素ガスとして戻されるという流れがあります。
これと同じことが水槽で起きていた可能性が高いです。そうでないと、どんどん高くなる硝酸塩により金魚を7年間維持することは不可能です。
脱窒は嫌気雰囲気(酸素がない)でないと起きません。そのため、ヘドロ状態であったというのがうまく働いたんだと考えています。
pHはどうなっていたのか?
一度も測定はしていないため、中性、酸性、アルカリ性のどちらにいたのかは正確なところは分かりません。
ただ、安定性という点では、外から新しく水槽に入ってくる成分が餌しかありませんから、酸性またはアルカリ性で安定していた可能性が高いです。
仮説を立ててみるならば、リン酸は脱窒のようにガスになって外に出せないため溜まり放題、ミネラルも同様に溜まっていたと仮定すると、意図せずリン酸緩衝液のような状態が出来上がっていて、pHは思ったよりも安定していた可能性があるかもしれません。ただ、あくまで仮説であり、予想の域を出ません。
病気は?
最後はお腹がすごく膨れてしまい、亡くなってしまいました。原因は不明です。しかし、それまでの間、一度も水槽から金魚は出していません。知識不足で気づいていない可能性はありますが、病気にはなっていなかったのではないかと考えています。
何故病気にならなかったのか?
ミネラルがたまり続けたことがよかったかもしれない
餌に入っている無機成分は、水槽内に溜まり続けていたはずです。
これはいわば、常に塩水浴をしているのに近い状態だった可能性があります。
好適環境水という淡水魚と海水魚が同じ水槽で生きられる水というものがありますが、この好適環境水は病気が出にくいという特徴があるようです。浸透圧を合わせることで、魚にとっては生きやすい環境でも病原体(特に寄生虫)は魚のように浸透圧を調節する機能は持っていないため、この環境では病原菌は生きにくく、病気が出にくいそうです。
海水の無換水飼育との比較
実は海水水槽では、無換水飼育というのは、幾分簡単です。私のサンゴ水槽も半年に一度程度の水替えのみで、ミドリイシが維持できる程度の水質である硝酸塩0ppm,リン酸塩0.2ppmが維持できています。
ただ、これはプロテインスキマーの有無が大きいです。プロテインスキマーがあることで、ものすごく小さな有機物を取り除くことが出来ます。
このプロテインスキマーの機能をうまく利用したのが、BPシステム(バクテリオプランクトン)で、バクテリアに汚れを食べさせて、汚れをため込んだバクテリアごと、プロテインスキマーで取り除くというシステムです。硝酸塩などを脱窒に頼らなくても
つまり海水は無換水は実現できる可能性がありますが、ノーメンテナンスではありません。それでも7年間無換水は難しいかもしれないですが・・・
まとめ
淡水水槽で、換水のみ、ノーメンテナンスというのは不可能ではありませんが、この時は本当に偶然できたのであって、狙って作るのはまだ分からないことが多く難しいように思います。
少なくとも脱窒が出来る環境を如何にして作るのか?と鑑賞性を両立させるというのは、この時の事例を考えると、難易度が高いです。ヘドロが下にたんまり溜まっていましたし、逆にそういう環境でないと脱窒は起きないでしょうから、水換えを容易に行うことに力を割いた方が得られるものが多いように思います。
水槽メーカーも、最近の製品を見ていると水換えを容易にする方向で商品開発していたりします。当然様々な検討が水槽メーカーではなされているでしょうし、その結果として水換えを容易にする方向性が打ち出されてきていることは、無換水飼育の難しさを表しているのかもしれません。
最近のコメント