この記事の概要
薬局に売っているアンモニアを添加して水槽を急速に立ち上げた記録をまとめました。アンモニアや亜硝酸が出るため、水槽立ち上げ直後は生体が亡くなってしまったりしやすい時期ですが、パイロットフィッシュを使わずに立ち上げ、魚の負担を完全に無くし、急速に立ち上げることに成功した時の記録になります。
短時間で立ち上げ(硝化サイクルの完成)を成功できた時の記録を残しました。
はじめに
アンモニア→亜硝酸→硝酸の硝化サイクルが完成した時を「水槽の立ち上げ」が終わったといいます。
この立ち上げにかかる期間は淡水であれば10日前後、海水であれば20日程度かかります。この期間は長く、早く水槽に生体を入れたい気持ちを頑張って抑えないといけません。
でも早く入れたくなるのが人情であり、うまくいかなかった場合は魚が亡くなってしまう場合もあります。
私も早く立ち上げる方法がないかといくつか試行錯誤し、良い方法が分かってきましたので紹介したいと思います。
硝化サイクルの説明図
立ち上げ方法の概要
私の立ち上げ方法は外部フィルターや予備の水槽に海水を貯めて、バクテリアとアンモニア水を投入し温度を上げてバクテリアの繁殖を促す方法です。
以下の条件でろ過材にバクテリアを繁殖させました。淡水ではなく、海水で実験しています。海水の方がバクテリアの繁殖が時間がかかるため、効果が分かりやすいためです。
- 海水温:33℃
- バクテリア:ミクロライブ 海水用 1本、べっぴんサンゴ 土壌バクテリア50ml
- 人工海水:REDSEA CORAL PRO SALT
- 比重:1.023
- 水量:5リットル
- ろ過材容器:外部フィルター エーハイム2213
- アンモニア源:アンモニア水 10ml
- アンモニア試薬:テトラ テスト アンモニア試薬
- 亜硝酸試薬:テトラ テスト 亜硝酸試薬
- 硝酸塩試薬:テトラ (Tetra) テスト試験紙NO3
- ろ材:パワーハウス モノボール
アンモニア水は毒物ですので、取り扱いと添加量には注意してください。揮発性もあるので、安全を見越して1滴/リットルほどで十分です。私は今回10ml入れてみましたが、そこまでやる必要はありません。アンモニアの量はバクテリアの繁殖のボトルネックにならないので、入れればよいというものではありません。逆に硝化サイクル完成後に無駄に亜硝酸や硝酸塩がろ材に残ってしまって洗浄が面倒になります。
温度を上げる理由
ポイントは無生物なので温度を高くできる点です。論文を見たところ、30℃以上で33℃が最も硝化に関わる細菌の繁殖が活発になるという記述を見つけたため33℃に設定してみました。
立ち上げ経過
アンモニア、亜硝酸、硝酸塩の記録を示します。
1日目
左が亜硝酸、右がアンモニアです。アンモニア水を添加してすぐなので、亜硝酸は検出されずアンモニアのみが測定限界を超えた量が検出されています。
左:亜硝酸 右:アンモニア
2日目
2日目は1日目と変化ありませんでした。
左:アンモニア 右:亜硝酸
3日目
3日目で亜硝酸が検出されました。3日で亜硝酸検出は海水での立ち上げでは大変早いです。淡水でも亜硝酸の検出までは、もう少しかかる場合もあります。この勢いでバクテリアの繁殖が進めば、1週間経たずに硝化サイクルが完成するかもしれません。
左:アンモニア 右:亜硝酸
4日目
亜硝酸濃度がさらに上がりました。順調に立ち上げが進んでいると判断しました。
左:アンモニア 右:亜硝酸
5日目
亜硝酸の濃度はさらに高くなっているようにも思えますが、試薬の検出限界を超えているので詳細な濃度はわかりません。
アンモニアは大量に入れすぎたためか、まったく減りません。
左:アンモニア 右:亜硝酸
6日目
この日から硝酸塩の分析を開始したところ、大量の硝酸塩が検出されました。もう少し早くから検査しておくべきだったようです。
亜硝酸濃度は検出限界を超えています。この硝酸塩の色を見る限り4~5日目には硝化サイクルは完成していた可能性がありそうです。
アンモニアが消えないのは、アンモニア水を添加したため、生き物が全く生きられないほどの高濃度アンモニア状態だからです。
左:アンモニア 右:亜硝酸 下:硝酸塩
7日目
硝酸塩は検出限界を超えました。亜硝酸は色が少し薄くなりました。
亜硝酸を硝酸に酸化するバクテリアの処理量がアンモニアを亜硝酸にするバクテリアの生産量を超えたようです。
左:アンモニア 右:亜硝酸 下:硝酸塩
8日目
亜硝酸が明らかに薄くなりました。硝酸塩は検出限界です。硝化サイクルはすでに完成しています。
左:アンモニア 右:亜硝酸 下:硝酸塩
9日目
硝酸塩の測定をやめました。ここにきてアンモニアを亜硝酸に酸化するバクテリアの生産量が上がったのか、アンモニアの色が減り、亜硝酸の色が濃くなりました。
左:アンモニア 右:亜硝酸
10日目
前日に亜硝酸濃度が上がったため、硝酸塩の測定を再開しました。問題なく硝酸塩は生産されていると思われます。アンモニアは全て酸化されつくしたようです。
左:アンモニア 右:亜硝酸 下:硝酸塩
11日目
亜硝酸のみ測定しました。まだ高濃度の亜硝酸があるようです。
後処理
重要な後処理です。亜硝酸と硝酸塩が大量に検出されているので、何度か新しい海水でろ材を洗い流しました。
これをしないと亜硝酸と硝酸塩で生体に悪影響が出る可能性があります。今回はアンモニアの添加量が多すぎたため亜硝酸と硝酸塩が不必要に多くなってしまいました。
まとめ
- 1日目:亜硝酸検出なし
- 2日目:亜硝酸検出なし
- 3日目:亜硝酸検出
- 4日目:亜硝酸検出
- 5日目:亜硝酸検出
- 6日目:硝酸塩検出
6日目で硝酸塩が検出されました。この時点でかなり多量に硝酸塩が検出されているので、4~5日で硝化サイクルはできつつあると言えます。
アンモニアの酸化の処理能力、亜硝酸の酸化処理能力共に魚が排出する量を超えていると思いますので、5日目で魚を入れても問題ない状態にはなっていると思います。
実際にこの後魚を入れてみましたが、アンモニアと亜硝酸が検出されることはありませんでした。
よって、一般に言われているよりも温度を上げて種となるバクテリアを添加しておくことで、高速に水槽を立ち上げることが可能になると思います。
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