実態紹介シリーズ:キイロサンゴハゼ
今回は我が家の水槽内で生活しているお魚の一匹、キイロサンゴハゼについてご紹介していきます。このシリーズは、図鑑では知ることのできないお魚たちの実際の生活状況をご紹介する内容となっています。
サンゴと共存する姿が愛らしく、サンゴ水槽を稼働しているマリアクアリストにとってはポピュラーなお魚ですが、実際に飼育したからこそわかるその生活実態や、サンゴへの意外な影響などをお伝えできたらと思っています。もちろん、魚には個体差もありますので全てのお魚が我が家と同じ状態になるとは限りませんが、「サンゴハゼ気になる!」という方はぜひ参考にして頂けたらと思っています。
意外にも気の強い部分があったりと、とてもユニークなお魚なので、どうぞお楽しみください!
つぶらな瞳とほっぺが可愛い…
今、水槽内にいるキイロサンゴハゼは比較的最近お迎えした子なのですが、今の水槽に変える前に使用していた水槽でもお迎えしたことがあります。以前の水槽は幅30cmとかなり小型のものだったのですが「何か小さくて(場所をとらなくて)、且つ他の魚と混泳できる魚はいないか」と探していた時に見つけたお魚でした。
なんと言っても可愛いのがその見た目。鮮やかな黄色が美しいのももちろんですが、まん丸のつぶらな瞳とぷくっとして見える赤ちゃんのほっぺのような頬部分がとってもキュートなお魚です。
「サンゴハゼ」という名前がついている通り、基本的にいつもサンゴの上で生活しています。我が家にあるサンゴはそのほとんどがミドリイシなので、ソフトコーラルがあった場合にどのような行動をとるかは分かりませんが、比較的表面の固いサンゴや地面の上にいる印象です。
胸ヒレをちょこんと立ててサンゴに乗っている姿は何とも言えない可愛さがあります。
我が家のキイロサンゴハゼについて
- 日本名:キイロサンゴハゼ
- 英名:Yellow clown goby
- 学名:Gobiodon okinawae
- 我が家での愛称:キイロサンゴハゼ(そのままかいっ!)
- 我が家にやってきた日:2019年11月11日
- 購入時の体長:2.5cm(現在は約3cm)
一カ所でじっとしている印象はなく、常に動き回ってはいますが、餌が落ちてきても積極的に取りに行っている様子は無いので何か他の物を食べているのかもしれません。(ウィキペディアで調べるとプランクトン食だと記載がありました)他の魚と比べるとそんなに気の強いほうには見えないので、落ちてきたのをこそっと食べているんでしょう。
なぜ食べられていないのではと心配しないのかって?
だってめっちゃ太ってるんだもの笑。体長も大きくなってるし、確実に何か食べて成長してます。今生活している一匹は、我が家のキイロサンゴハゼ飼育歴史上最も大きいサイズになってくれています。素晴らしい!!
実は攻撃的な一面も
見た目やサンゴの上でじっとしている姿はとても可愛いですが、ちょっと攻撃的な一面を見せることもあります。
それは同じキイロサンゴハゼが複数同じ水槽内に入っているときです。攻撃するのは恐らく縄張り主張なのだと思うので、小さなお魚であることもあり、大きめの水槽に2、3匹などであれば問題ないかもしれませんが、以前30cm水槽に3匹のキイロサンゴハゼを入れたときは、それはそれはひどいものでした。
身内には厳しいタイプ
実は我が家の水槽にはキイロサンゴハゼの他にもう一匹ハゼが住んでいます。この子は購入したサンゴにたまたまくっついてやってきた子で、中々姿を見せてくれないので何の種類のハゼなのかわからないのですが、姿はサンゴハゼそっくりで色が違うだけなので、恐らくハゼの仲間なのではと思っています。
ヤッコやスズメダイは、同じ種族であれば種類が違ったとしても喧嘩してしまいますが、キイロサンゴハゼはそういったことはしません。現に、その別のハゼとは喧嘩している姿を見たことはありません。その代わり、同じキイロサンゴハゼ同士は激しく喧嘩をします。
これは以前の水槽の時の経験によるものなのですが、とにかくその喧嘩が激しく、まさに骨肉の争いともいえる喧嘩をします。きつい言い方をすれば、一番強い一匹が残るその日まで、自分以外の相手を☆にしてしまうくらいの勢いで争いを繰り返します。
一緒に入れるときは余裕を持たせて
我が家では以前のトラウマがあり(合計6匹のキイロサンゴハゼが☆になりました…)、現在の150cm水槽には初めから1匹しか入れていないため、キイロサンゴハゼの詳しい縄張りの広さやその範囲は分かりませんが、数匹のキイロサンゴハゼを同時に入れてしまうのは結構危険なのではと思います。
下手をすると、投入して数日で全てのキイロサンゴハゼが次々にいなくなってしまうということも起こりえます。それくらい、彼らの争いは激しいものです。ひとまず一匹入れてみて、その行動範囲や縄張りにまだ余裕がありそうであればまた一匹入れるといった感じで、余裕を持たせたほうが良いと思います。
我が家では「可愛いし、小さいから大丈夫だろう」と数匹を同時に投入し、散々な目に遭いました。皆さんにはそういった思いになってほしくは無いので、自分たちへの教訓も込めてここに記載しておこうと思います!
サンゴにとっては嫌な存在?
名前からもわかる通り、キイロサンゴハゼは基本的にサンゴの上で生活し、眠るときもサンゴの上が基本です。サンゴと共存してくれることは良いことなのですが、サンゴにとって少々困った影響を及ぼすときもあります。
スギミドリイシの上でかくれんぼ中のキイロサンゴハゼ
上に乗られるのが嫌なサンゴも?
前述したように、キイロサンゴハゼは基本的にサンゴ(特にミドリイシ)の上で生活をしています。サンゴの枝部分の隙間にいることが多く、ユビミドリイシのような丸っこい形のものや、ウスコモンのような平たいサンゴの上に乗っていることは少ないです。
ただ、この隙間に入っていられるのが嫌なサンゴがいるようです。現に我が家のキイロサンゴハゼはハイマツミドリイシを気に入っており、ほとんどの時間このサンゴの上で生活をしていますが、ハゼのお気に入りの場所になってからというもの、ハイマツミドリイシはあまりポリプを出さなくなってしまいました。
ミドリイシが不調になる原因は、水質や光量など他にも様々ありますが、それらを計測しても現時点では特に問題が見つかっていない状況です。ミドリイシは特に敏感なので、これからも計測や微調整を掛けて少しずつ回復させたいところですが、キイロサンゴハゼが気に入って乗っかってしまっているのも一つの原因かもしれないなと感じています。
ただ、キイロサンゴハゼが乗っていても気にしていない(調子が崩れることは無い)サンゴもいるので、個体差だったり、設置している場所とか環境とか、いろいろな原因があるのだと思います。ひとまず我が家のハイマツミドリイシについては、引き続き注視していきたいなと言ったところです。
サンゴを舐める?
キイロサンゴハゼはペアになりやすく、2匹以上入れた場合は繁殖行動が見られることも少なくないようです。
その際にサンゴの中で産卵に良さそうな場所を見つけると、サンゴの表面を舐めて(食べて?)表面を剥がし、そこを産卵場所にしてしまうんだとか。キイロサンゴハゼはカクレクマノミに比べて、産卵から羽化、そしてまた産卵のスパンが短いそうで、短期間にどんどんミドリイシの表面を剥がされてはたまったものじゃないですよね(汗)
幸い我が家では一匹しかキイロサンゴハゼを入れていないので、そのような行動は特に見られませんが、サンゴにとっては致命傷になることもあるようなので、複数匹入れる場合はよく観察しておいたほうが良さそうです。
産卵場所としてはサンゴに限らず、壁面や模型サンゴの上でも気に入ってくれると産卵をするようなので、必ずしもペアになったからサンゴが危険!ということは無いと思います。
それでも可愛いが勝つ
小さい魚で他の種類の魚とケンカすることもなく、飼育のしにくさは特段感じないお魚ですが、独特の縄張り感覚や、特性を持っているので、その点については注意していきたいお魚と言えます。
ただ…とにかく可愛いんですよね。だから、厄介な面も許してしまうんです。
なんにせよ、キイロサンゴハゼ同士の争いや産卵場所の問題などは、飼育している私たちの観察力であったり、配慮によって何とかなるものなので、とにかくよく観察することがいかに大事かということを改めて感じさせられます。
サンゴと共存する可愛い姿が、皆さんの水槽でもきっと見られます。一緒にハゼ飼育していきましょう!
最近のコメント