【飼育記録】カクレクマノミの繁殖③【アクアリストの妻目線】

再×5挑戦

前回の記事に引き続きカクレクマノミの繁殖のおはなし。

我が家の水槽では5回目の産卵を終えたママクマノミが涼しい顔をして泳いでいます。
2回目~4回目の産卵においては、稚魚たちを無事に大きくすることができず、とても悲しいことになってしまったので、次こそ成功させなければ・・・!!
その為、今回はクマノミベビーの餌として「生餌」を用意してみることにしました。

生餌を沸かすと聞いただけでゾゾゾ・・・としてしまった私ですが、ベビーを育てるため頑張るしかありません。
生餌にすると何が変わるのかというと、自分で動いてくれる餌というのが最大の特徴。
生まれたばかりの稚魚たちは本能だけで動いているので、冷凍餌では餌と認識できないことがあるという情報を見かけました。
なるほど・・・。確かにもう2歳半になる我が家の暴れん坊(息子)も、生まれたばかりのころは本能だけで母乳を飲んでいました。(完全なる余談)
お魚さんも同じだと考えると、より自然界に近い形で餌をあげることは効果があるかもしれません。
今まで冷凍の餌や乾燥餌を使用してきましたが、果たして餌の変更に効果はあるのでしょうか。

ブラインシュリンプの孵化のさせ方

ここで、生餌の孵化方法を少しご紹介しておきたいと思います。
今回我が家ではベトナム産のブラインシュリンプの卵を用意しました。産地によってさまざま違いがあるようですが、それはまた夫の記事で詳しく説明してもらっていますのでご確認ください。

【稚魚の餌】ブラインシュリンプは3つの産地によって大きさが違う

ブラインの孵化は簡単でした。
容器に飼育水(海水)を入れ、卵を付属のスプーン一杯すくって投入するだけ。
後は容器についたエアーストーンで卵がしっかり容器内で回転するように調整すればOK!
これだけでいいのか!と思ってしまうほど簡単だったので、もっと早く挑戦しておけばよかったなぁと後悔したほどです。
今回たまたま稚魚が生まれる時期に夫の出張が重なってしまっていたので、全て一人でしなければいけませんでしたが、知識のない私でもやり遂げることができました。

孵化させる時のポイント

ここで、実際に生餌を沸かして気づいたことを記載しておきます。
これからチャレンジしてみたい!という方はぜひ参考にしてみてください。

①生まれるまでに時間がかかる

ブラインシュリンプが生まれるまでには18時間~24時間かかると説明書には記載がありました。
体感的には20時間くらいでほとんどの卵が孵化していたのではと思います。
孵化までに時間がかかるので、クマノミベビーが生まれたときにすぐに与えることができるよう、1日前には卵を孵化器にセットしておくのを忘れずに!

②新鮮なブラインを用意する

ブラインシュリンプは「生まれたてであること」に意味があります。
生まれたばかりのブラインたちはたくさんの栄養素とエネルギーの塊を親からもらって生まれてきます。その栄養素の塊をクマノミベビーに摂取させることで、過酷な環境で生き抜く力を身に着けることができます。
孵化に時間がかかるからと言って、何日も前に孵化させておいたり、もったいないからと何日もに分けて与えるのは良くありません。
私自身もさぼりたくなる衝動を抑えて、毎日頑張って用意をしました。

③孵化器のセットについて

孵化器内の水温が低いとうまく孵化が進まないようです。
今回設置したときは季節が冬だったこともあり、水槽の外では寒すぎるため海水水槽内に容器をセットして孵化させました。
水槽壁面に容器を固定できる留め具が付属でついていたので、それを使って水槽内に固定していましたが、水槽内にいる大きな魚たちにいたずらされて、セットしていた卵や容器もろとも流されるという悲劇が起きたので(衝撃で笑うしかない)、稚魚用の隔離水槽か隔離容器内にセットすることをお勧めします。

PasyaPasya
我が家の魚たちのマナーが悪いだけかもしれませんが・・・。

④孵化器の中の水位

孵化器には予め水位線が引かれていて、その線まで海水を入れるように書かれていましたが、それだと卵が水面側で溜まってしまい、無駄が出ていたように思いました。
卵を入れた後に、規定線の少し上側まで海水を入れたほうが卵が無駄なく回りました。
卵を入れた当初は上に卵が溜まるのですが、海水を多めに入れておくと時間が経つにつれすべての卵がきちんと撹拌されていくので問題ありません。
この方法でほとんど無駄なく孵化が進み、大量のブラインたちが生まれていました。

稚魚の生存率を上げるには餌さえ変えれば良い・・・?

実際に餌を変えてみてからの変化を正直に書くと「生存期間は長くなったが、最終的な稚魚の致死率がほとんど下がらなかった」という状態でした。
今までは生まれてから2日~3日でほぼ全滅してしまっていましたが、今回の稚魚たちは生まれてから1週間まで生き残った子もいました。
しかしながら、毎日一定数の稚魚たちが死んでしまうため、少しずつ少しずつ数が減っていっていまい最終的に生き残ったのは3匹だけでした。この3匹もいついなくなってしまうか分かりません。
これまでは全滅してしまっていたので、それに比べればマシと言えますが、何とか致死率を下げたい・・・。きっと餌以外の理由もあるはずです。
そこでいろいろと理由を考えてみました。

①餌が大きく、うまく食べられなかった

我が家ではサイズが複数ある中で一番小さいとされるベトナム産のブラインシュリンプ(卵)を用意しましたが、ベトナム産は流通量が少なくほぼ手に入りません。
ただ、ネットの情報を見ていると「生まれてから4日後にはもう少し大きいブラインシュリンプでも食べられるようになる」との記載もあり、生後4日以降にも一定量の稚魚が死んでしまう理由がわからないのが現状です。

②夜暗かったことで餌が食べられず餓死してしまった

実は稚魚が死んでしまう時間帯はそのほとんどが夜です。
昼間にも死んでしまうことはありますが、あっても1~5匹ほどでそんなに多くありません。夜を超えると一気に20匹ほど死んでしまいます。
我が家では家のスペースの関係上、稚魚用に別水槽を用意するのではなく、大きな水槽内に稚魚用の隔離ケースを取り付け、そこで稚魚を飼育していました。その為夜になれば他の魚たちを眠らせるために照明が消え、水槽は真っ暗になります。
もし人間の赤ちゃんと同じように昼夜の区別がついておらず、寝たり起きたりを繰り返しながら餌を食べているのだとすれば・・・夜の暗い間にうまく餌が見つけられず餓死してしまうこともあるのではと考えました。生まれたばかりの稚魚は恐らくあまり目が良くなく、明かりが無ければ餌を見つけることができない可能性があります。

③隔離スペースが小さいことで、水が汚れた

先述したように、我が家では稚魚用の別水槽を立ち上げてはいません。その為、どうしてもスペースが小さくなってしまいます。
夫が考案した自動水替えシステムと手動での水替え(一日2回、コップで隔離水槽内の水を出し、本水槽の飼育水を入れる)を行っていましたが、それでは足りないほど水が汚れていたのでしょうか?
ただ、こちらもネットの情報を見ていると、稚魚用の別水槽を立ち上げたとしても最初の2週間ほどはフィルターやろ過装置を取り付けずに飼育するとの記載もあり、むしろ我が家の隔離水槽内の方が綺麗な状態であった可能性もあります。
また、タカラガイ達も何体か水槽内に乗り込んで来てくれていたので、お掃除もしてくれていました。

④餌の量が適切でなかった(多すぎた、少なすぎた、安定していなかった)

我が家にはブラインシュリンプの孵化器は1つしかありません。ブラインの孵化には少なくとも18時間はかかるため、孵化が完了したらその時点であげ切ってしまい、次の卵を用意していました。
稚魚に対してブラインの数が多いと感じた場合は、先に成長しているクマノミの子供たちに一部をあげるなどして量を調整していましたが、しっかりと量を測っていなかったこと、また手動水替えの際に隔離水槽内の一定量が減ってしまっていたことなど、ブラインシュリンプの量が一定でなかったことは事実です。
水量当たりのブラインシュリンプ密度を一定にすることは重要かもしれません。

次回試してみること

①餌を複数種類与えてみる

稚魚にはベトナム産のブラインシュリンプであっても大きすぎた可能性を考慮して、ブラインシュリンプ、冷凍ワムシ、アンブローズの3種類を与えてみようと思います。

②夜に照明をつける

ミドリイシ用のLEDは明るすぎるので、ベッドライトのような薄暗い照明を一晩中つけてみようと思います。

以上2点を試してみて、次の結果を報告したいと思います。

カクレクマノミのブリードについても先述の内容を踏まえていろいろと改善し、結果をお伝えしますので楽しみにお待ちいただけたらと思います。
みんなでもっとアクアリウムを楽しみましょうー!!!